diary

日記 雑記

奈良

奈良には何かがある。

それが何かを言葉ではうまく捉えられない。

だけど何かがある。

と感覚だけで言いたい何かがあって、

それをいつかちゃんと自分の言葉で掴むぞと

常々考えているんですが

未だにそれを的確に表す言葉は見つかりません。

 

わたしは地元が奈良で
今は京都で暮らしているのですが

月に一度は近鉄特急に揺られて帰省します。

 

近鉄奈良駅に降り、

改札を出たときに感じる何か。

 

クリスマスとかホリデーシーズンなんて言葉は

商業的には確かに存在するけれど

ここの空気には、そのムードは殆ど届いとりません。

ここは、そんなことより

今日は冬至やな、ということを思い出させる空気です。

 

書店も喫茶店も、いつも人口密度は少ない。

いわゆるモールは別です。人だらけ。

でもこの奈良駅界隈には、独特の静けさがあります。

私はここの独特の静けさに

奈良のエッセンスを感じます。

 

茶店ではおじいさんたちの

声の大きな会話や、でかいあくびが響くが

それもなんにも邪魔にならない。

 

昔からある書店の店員さんが
変わってないことにも
密かに気づいたり。

 

友人知人はもう殆ど県外に出ていて居ないけど
ここには
空気の中にわたしの一部が共鳴するものがあって、それは簡単に言えば懐かしさ。

子供時代から続く何か。

自ずと、おばあちゃんから受け継いだ喋り方が発動しだす感じ。

 

畑の野菜。祖母の糠漬け。梅干し。七部付きの米。

どんぐりを拾ってポケットに入れたり。

銀杏の葉っぱで栞したり。

そういう何か。

 

前にラジオで河瀬直美さんが

奈良にあるもの、それは“菌” だと仰っていました。

 

私が言いたくてウズウズするそれは、

“菌”に一番近いことなのだと思います。

 

目に見えない。けど確かに存在していて、生きている。

それは場の空気を作っている。

 

しんとしているのに

人間の本能が寂しくならない何か。

生命のエネルギー。

普遍的なもの。

土の濃さ。

 

 

以上、地元びいきでした。